レジャーホテルにおける効果的な事業承継の考え方

【定期コラム】 総合ユニコム発刊の季刊誌「レジャーホテル」に “キャッシュフローを維持するための戦略的な税務対策”と題して連載しているコラムの第三回目です。 ラブホテル・レジャーホテルの運営にご参考になれば、幸いです。 【早期の対策が求められるレジャーホテルの事業承継】 今回は、オーナー社長にとって、乗り越えなければならない、大きな課題の一つといえる、事業承継について考えてみたいと思います。 ●承継の時期について  商品のライフサイクルといわれるものがあります。  「導入」→「成長」→「成熟」→「衰退」と4つの成長プロセスがあり、企業組織においても同様の考え方があります。事業承継を考えるうえで、高齢になってから検討するのでは遅い。成熟期に入る前の早い段階から検討するべきだといわれています。 ●事業承継を取り巻く環境  事業承継を取り巻く環境についてみてみましょう。中小企業の数は、日本企業全体の99.7%を占め、従業員数でも被雇用者の70%を占めるといわれています。一方で、後継者が見つからないため、自分の代で事業を終えることを考える経営者が増加しているようです。実際、経営者の平均年齢は年々高くなり、60歳以上の人が半数以上。平均年齢からみても、今後10年で引退を迎える経営者は5割を超えます。最近は、子どもに引き継ぐケースが半数以下に減少し、60歳代前半の後継者不在率は60%以上に及ぶようです。 ●レジャーホテル業界の事業承継  レジャーホテル業界においても、二代目・三代目の若い経営者が増えていますが、その一方で、後継者になり得る子どもがいても、事業を引き継がないケースも多いようです。  経営者が高齢化すると、体力的に管理することが困難となり、最近の業界動向や利用ニーズをとらえることもむずかしくなります。また、いまさら融資を受けてリニューアルに取り組み売上げアップを目指すという意欲もなくなるでしょう。結果として、最終的にホテルを安値で売却するというケースも多いようです。  また、後継者が決まっているケースでも、レジャーホテルは高利益体質であり、株価も高騰しているので、早めの相続対策が必要になってきます。 【事業の成長戦略のための効果的な相続対策の考え方】 ●事業承継で引き継ぐもの  事業承継では、  ①社長の役割と経営権(ヒトの承継)  ②会社がもつ資産(自社株式・会社の土地・建物・設備)  ③見えない経営資源(経営理念・会社の信用力・ブランド・ノウハウ・技術・人脈) の3つの財産を、次の後継者として誰に、どのように引き継ぐかが、大事なポイントになります。  今回はそのなかでも資産の承継である相続対策にクローズアップします。 ●事業承継に係る相続税対策  事業承継に係る相続対策でまずすべきことは、経営者個人の資産の洗い出しです。洗い出しをする場合は、①事業用(会社の株式や個人から貸し付けている不動産や貸付金)、②個人用(居住用の不動産や車・会員権・預貯金・有価証券や保 険金など)に分けて整理し、最終的にそれらを合わせて相続財産の評価額を算出することになります。財産や債務の状況に応じて、必要な相続対策を検討していくことになります。まずは、現状認識というところです。たとえば、後継者が子どもなど相続人の場合だと、財産が自社株式などに偏っている場合、後継者に自社株式を引き継がせるため、後継者以外の相続人が遺産分割で不公平になりかねないので、最低限の遺留分は確保し、一定の財産を残せるように、事業以外の個人資産を確保して、遺言書などで、その分け方を指定しておくことが重要になります。  また、事業用や居住用の土地は誰が相続するかで、相続税の評価額を減額もできたりします。このように、相続人・後継者・財産状況で対策は変わります。 ●レジャーホテルの自社株式の引継ぎ  レジャーホテル業界を考えると、前述のとおり、高利益体質で、株価が高騰しやすいため、「自社株式」の引継ぎが重要になります。  この引継ぎの問題点と対応策としては、下記の三つになります。  ①相続でもし株式が分散すると、安定した経営が難しくなるので、後継者への株式の集中化が必要になる。相続の遺産分割を失敗して株式が分散した結果、経営者が全く知らない株主が現われるなんていうケースも少なくないようです。そうすると、ほとんどのケースで争うことになってきます。たとえば、最初は長男と次男だけだった株主が、次男が亡くなって妻が相続し、その後、その子供もしくは場合によっては妻の兄弟が相続しているといったケースもあります。  ②自社株式の評価額が高いと相続税・贈与税の負担が重くなるため、節税対策・納税対策が必要になります。  ③後継者以外の相続人に遺産分割や遺留分の問題が生じるため、相続対策が必要になります。 ●自社株式の引継ぎ方法  これらの対応策を踏まえて、どのように自社株式を承継させるかというと、こちらも下記の3点になります。それぞれのメリットデメリットを記載します。  ①相続による承継  承継するタイミングを選べない・相続税や遺留分の問題というデメリットがありますが、後継者の納税猶予の制度を使えるメリットがあります。  ②生前贈与  贈与税の負担や遺留分の問題がデメリットですが、承継のタイミングが選べ、納税猶予制度も使えます。  ③売買  売り手に譲渡所得税の負担があるのと、買い手には購入資金が必要になるデメリットがあるが、承継のタイミングが選べ、遺留分の問題が生じないというメリットがあります。 ●生前贈与について  上記の承継のなかでも、使い勝手が良いのは、生前贈与ではないでしょうか。暦年贈与というやり方で、毎年贈与税の基礎控除額(非課税枠)である年間110万円の範囲で複数年をかけて贈与していくやり方は現金だけでなく、自己株式に利用する方も増えております。  ただし、株価が高騰している場合は、110万円ずつ贈与しても焼け石に水である場合もあるため、非課税枠を超えて毎年数百万円ずつの贈与をして贈与税を払ったほうが、相続税も含めて考えると有利だったりするケースもあります。  また、非課税枠等にこだわらず、まとめて自社株式を贈与する場合は、自社株式の評価額が低いタイミングで行なうのが一般的です。たとえば、会社が債務超過であれば株価をゼロ円として贈与できます。債務超過ではなかったとしても、何か大きく損失を出した後や、新たな物件を購入してうまく損出しができた直後などは、株価の引下げができていると思います。また、生前退職金を支払うことで、評価を下げることもできます。  贈与の対策としては、もう一つ「相続時精算課税制度」があります。60歳以上の父母・祖父母から20歳以上の子・孫への贈与が対象で、2,500万円まで非課税で贈与が可能です。その額を超えた贈与部分には、一律20%の税率で贈与税が課されます。贈与する財産は、金銭だけでなく、不動産でも株式でも構いませんし、何回かに分けての贈与も可能です。贈与した人が亡くなって相続が起こった場合、この制度で贈与した財産は、相続税の課税価格に含めて相続税を計算します。その際、すでに支払った贈与税がある場合は、相続税額から差し引かれ、引ききれなかった分は還付されます。結局贈与したものが、いずれ相続財産に含まれるので、相続税の負担を抑えることにはつながりません。ただし、相続の際、贈与された財産は、贈与された時の価額で評価されます。したがって、将来の値上がりが予想される株式や不動産を贈与し、それが相続時に値上がりしていれば、生前に贈与しなかった場合と比べて、相続税の負担が抑えられます。たとえば、事業承継の場合、現経営者がこの制度を使って、後継者に自己株式を贈与すれば、将来株価が上がっても、その増加分には相続税がかからないので、贈与税・相続税の両方で節税が可能になります。逆に、贈与した財産が値下がりしていると、贈与しなかった場合に比べ、相続税の負担が重くなるケースもあります。 ●役員貸付金は相続財産になる  会社の資金繰りが厳しい時、社長が個人的にお金を会社に貸し付けることがあります。  また、資産購入時、銀行融資だけでは資金不足の場合は貸付をすることがあります。この貸付金が塩漬け状態になっているケースも多いようです。貸借対照表にいつまでも借入金残が残っているケースです。この場合、社長に万が一の事が起こってしまうと、相続財産にこの借入金残が含まれます。相続人は、債権を引き継ぐことになるからです。たとえば、1億円の貸付金は、1億円の現金と同額の相続財産になるわけです。現金であれば納税資金に充てられますが、塩漬けの貸付金ですと、手元にない財産から相続税を払うことになってしまいます。事業承継・相続対策を考えるうえでは、この貸付金を早期に減少させる必要があります。  主な方法としては、下記の四つです。  ①債権を放棄(会社は債務免除益計上)  ②役員報酬を減額し貸付金を返済する  ③貸付金を資本金に振り替える  ④貸付金を相続人等へ前もって贈与する  このような方法がありますが、会社の状況によってとり得る方法が異なりますので、専門家にご相談ください。  以上、レジャーホテル業界に係る事業承継・相続対策について記載いたしましたが、ここに書かれた方法のみならず、他にもたくさんの対策はありますし、オーナーが10人いれば10通りの対策がありますので、早めに、そして、慎重に検討して対策をする必要があると思います。 今後も発刊ごとに、追加してご紹介いたします。 佐々木税務会計事務所 【対応地域】 全国のラブホテルに対応いたします。 〒107-0061 東京都港区北青山3-5-14

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「マイナンバー制度」の概要とレジャーホテル経営者が留意すべきポイント

【定期コラム】 総合ユニコム発刊の季刊誌「レジャーホテル」に “キャッシュフローを維持するための戦略的な税務対策”と題して連載しているコラムの第二回目です。 ラブホテル・レジャーホテルの運営にご参考になれば、幸いです。 【2016年1月からスタートする「マイナンバー制度」とは】 ●「マイナンバー法の概要」  日本に暮らす約1億3,000万人に、国が12桁の数字(マイナンバー)とICカード(個 人番号)を無償配布する制度がはじまります。  制度のスタートは2016年1月からですが、個人に割り当てられる番号の通知は、今年10月からはじまります。  マイナンバー制度の最大の目的は、「異なる分野に属する情報を照合してこれらが同一の者に係るものであるかどうかを確認することができる」点にあります。すなわち、社会保障、税及び災害対策の分野における行政運営の効率化を図り、国民にとって利便性の高い、公平・公正な社会を実現するための社会基盤の整備を図ること等を目的として導入された制度であり、住民票に記載されている者に対し「個人番号」、法人等に対し「法人番号」がそれぞれ付番されることとなります。 ●「マイナンバー制度のメリット」  マイナンバー制度が開始されると、どのようなメリットがあるかというと、行政としては、何よりも事務の効率化があげられます。一方、利用者側としては、行政手続きの際の手数料や待ち時間の減少、本人確認の簡素化、記載事項の簡素化、添付書類の不要化があげられます。添付書類の省略が可能な例としては、国民年金保険料の免除、児童扶養手当の支給、高額療養費の決定等において所得証 明書等の添付が省略。また税務関係においても、住民票の写し等の添付が不要になります。税務当局では、いままで個人情報を把握するときに、「氏名・住所・生年月日」をキーとして名寄せをしておりましたが、同姓同名や旧字や住所変更など、手間がかかっていたところが、かなりの事務効率化になると思われます。  先般、日本年金機構で個人情報の漏洩事件が起きました。流出したのは対象者の基礎年金番号、氏名、生年月日、住所の4つの情報などです。これだけの漏洩事件があると、「マイナンバーを扱いはじめるともっと影響が大きい漏洩が起きるのではないか」との心配があると思います。  しかし、今回の漏洩は、日本年金機構の個人情報の取り扱いに不備があり、以前からその課題が指摘されず、対策も取られないまま放置されていたために起きたといわれています。もし日本年金機構がマイナンバーを取り扱っていたら、このような漏洩事件は起きないか、被害が少なくすんだとも言われています。なぜなら、マイナンバーの取り扱いは非常にルールが厳しく、その取り扱いを厳しく 監督する組織もあります。 ●企業としての実務対応  企業は、すべての従業員からマイナンバーを取得する必要があります。本人確認は、身分証の確認を行なう「本人実存性の確認(身分確認)」とともに、通知カードおよび個人番号カードによって取得した番号が正しいかどうかの確認を行なう「番号真正性の確認」が必要となります。2つの確認を同時に行なうため、制度施行後すぐには慣れない作業のために手間取ることも考えられます。しかし、この本人確認は、マイナンバーを取得するためにはどうしても行なわなければならない手続きです。  企業が本来やらなければならないことは、下記の3つのみになります。  ① 従業員や扶養親族、支払先など、各種帳票に記載が必要となる対象者のマイナンバーを集める  ② 集めたマイナンバーを保管する  ③ マイナンバーの記載が必要な帳票にマイナンバーを記入する ●具体的な業務内容  では、どのような業務において対応が必要なのか、詳細をみていきます。企業は、給与厚生業務として次のような事務対応を行なっております。  ① 従業員の入社手続きに関する業務  ② 従業員の退職時に発生する業務  ③ 結婚や出産などの家族構成の変更に関する業務  ④ 勤務地変更に伴う業務  これらの業務については、何らかの形で税や社会保険に伴う手続きが発生するため、マイナンバー対応が必要です。 ●マイナンバーによる影響  マイナンバー制度がはじまると、内緒でやっている副業が会社にバレるのではないか。と言われていますが、確かにバレやすくなることが考えられます。個人番号を通して、お金の流れとそれを受け取った人のひも付け、名寄せが簡単にできるようになるからです。また、本名や素性を隠したまま副業にいそしむことも難しくなりそうです。マイナンバー制度がはじまれば、会社はアルバイトも含め て、給料を払う従業員の個人番号を集めなくてはなりません。その際には、運転免許証などによる身元確認と個人番号確認という厳格な本人確認を行なう必要があります。そうなれば、あまり他人に素性を知られたくない人が集まりやすい商売に影響が出ると考えられます。  それ以外にも、マイナンバー制度導入により影響があるのは、厚生年金保険の加入を逃れている中小零細企業です。  厚生年金は、従業員が5人以上いるサービス業以外の個人事業所や、法人事業所が強制加入となる公的年金制度。しかし、従業員と折半で負担する保険料の負担を免れようと、加入逃れを決め込む中小零細企業も多い。しかし、マイナンバー制度で、従業員の源泉徴収票に個人番号と法人番号が入れば、厚生年金の未加入企業かどうか一目瞭然になります。  ただ、業績が芳しくないために、保険料を払いたくても払えない中小零細企業がいることも事実。そういう企業に対して、一律で強制的に保険料を集めれば倒産が相次ぐことになり、現実的ではない。逆に言えば、マイナンバー制度で見つけやすくなった、保険料を払えるのに払っていない企業が狙い撃ちにされることになるでしょう。  このように、いままでうやむやだったことを白日の下にさらす制度であります。 【レジャーホテルへの影響と留意すべきポイント】 ●レジャーホテル業界における対応  マイナンバー制度導入による影響の大きい業界として、小売り・外食産業などが言われますが、レジャーホテル業界も影響の大きい業界に入るのではないでしょうか。  その理由としては、パート・アルバイトなど多様な人が多数働いており、短期間での出入りが激しいことがあげられます。さまざまな雇用形態の方々も、直接雇用であれば、マイナンバーの手続きを行なう必要があります。一人ひとりに通知カードと身分証等や個人番号カードを提出してもらわなければなりません。  とくに問題となるのが、身分証です。たとえば、免許証やパスポートを持っていない人については、別の書類を用意する必要があります。必ず「名前と住所又は生年月日の記載」の書類が必要になります。  レジャーホテル業界では、人の入れ替わりが頻繁にあります。数か月働いてやめてしまった人でも、源泉徴収票の都合から、マイナンバーの手続きが必要になります。このため、会社は従業員のマイナンバー情報を大量に取扱い、手続きする必要が出てきます。最近では外国人の従業員の方も増えているようですが、彼らにもマイナンバーが指定され、通知カードが届きます。外国籍であっても必ず マイナンバーの手続きを行なよう指導する必要があります。  世の中には住所を隠したい人、理由があって住所がない人もいます。家庭内暴力(DV)でシェルターに保護されている女性、住民票を持っていない日雇い労働従事者、借金で夜逃げした人など事情のある人です。マイナンバーは住民登録と関連付けられているために、事情があって居場所を知られたくない人は、マイナンバーを貰えないため、行政のサポートを受けられないという不安をもたれ るかもしれませんが、このようなケースも想定されているので、市区町村等の窓口で手続きの相談に乗ってくれるようです。  実務上の問題点として従業員や外部の対象者に番号の提供を拒否された場合は、制度の趣旨として、番号の提供が義務づけられている旨を説明し、そのうえで提供を受けられない場合は、これらやり取りの経緯を記録・保存して、番号を記載できなかったことが単なる義務違反ではないことを役所に説明できるようにしておくとよいでしょう。  利用拡大に向け、まだまだ課題が山積みのマイナンバー制度。最初は手間がかかる手続きをしなければならないため、面倒かもしれません。また、アメとムチで、最初はムチが目立つような気もします。しかし、使いはじめると、いろいろなサービスが実現することになり、いままで以上に暮らしやすくなるとよいですね。 今後も発刊ごとに、追加してご紹介いたします。 佐々木税務会計事務所 【対応地域】 全国のラブホテルに対応いたします。 〒107-0061 東京都港区北青山3-5-14

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ホテル経営者が見落としがちなレジャーホテルの節税ポイント

レジャーホテル2015夏by綜合ユニコム

【定期コラム】 総合ユニコム発刊の季刊誌「レジャーホテル」に “キャッシュフローを維持するための戦略的な税務対策”と題して、連載を開始いたしました。 ラブホテル・レジャーホテルの運営にご参考になれば、幸いです。 【ホテル経営者が見落としがちなレジャーホテルの節税ポイント】 レジャーホテル経営において、長期的な安定を維持するために、オーナー様は、日々、試行錯誤を繰り返し、たゆまない努力を続けられていることと思います。日々のオペレーションはオーナー様の努力で維持できるかもしれませんが、やはりその運営上、税務対策は不可欠なものです。 税務対策とは、ただ毎期の法人税を圧縮するための節税対策にとどまらず、物件の購入時にはじまり、リニューアル・事業承継・相続対策にまで及びます。これらを効果的に対策していかないと、長期的な安定の維持はむずかしいといえます。 レジャーホテル経営に独自のノウハウが必要なように、税務対策も、業界独特の事業構造を熟知したうえで税務対策を行なう“専門の税理士”が求められます。 私は、約20年にわたりホテル業界の経営・税務に携わってきましたが、本連載の第1回は、レジャーホテルの税務対策のポイントについて、みていきたいと思います ◆ホテル経営者が見落としがちなレジャーホテルの節税ポイント ●「キャッシュフロー」の重要性 税務対策を行なう前に、考えておくことがあります。それは、事業計画です。とくに資金繰り、キャッシュフローを意識する必要があります。融資を受けて資金調達をし、不動産の購入資金や改装工事に多額の投資をすると、当然のことながら、借入金元本の返済と金利の負担が生じます。借入金の元本部分は経費になりませんが、経費になると勘違いされているオーナー様もまだおられるようです。経費にできるのは利息の部分のみです。そのため、その元本分は法人で利益を出さないと返済できなくなります(実際には減価償却も関係しますが、ここでは省略します)。利益が出れば当然法人税の納税も生じます。返済と納税も考慮して事業計画を立てないと、黒字倒産なんてことにもなりかねません。 オーナー様の意識は、売上げにある方が多いようです。いかに客単価や回転数を上げて、ルーム売上げを伸ばすか。そこに興味がいくのは当然ですが、長期的な安定を考えるのであれば、売上げよりも利益、利益よりもキャッシュフローを意識すべきです。 ●レジャーホテル売買の節税ポイント レジャーホテルの購入には2つの方法があります。一つは不動産の売買。もう一つはM&A(株の売買)です。不動産売買の場合は、土地よりも建物が多ければその分減価償却が計上できるため、その後のキャッシュフローが楽になります。また、消費税も土地には課税されないため、建物が多い方が、税額を抑えることができます。 M&Aは株の売買です。M&Aのメリットデメリットについてはここでは割愛しますが、ポイントとして、まず売買総額のうち、株の金額は押さえるべきです。これは、土地と同様に貸借対照表に「有価証券」として計上され、償却を一切生まないからです。株の代金以外については、金融機関や売主への借入金の返済に充てるほか、退職金に充てることになります。退職金は全額経費に充てることができるため、退職金を多く計上できるようにしておくと良いでしょう。ただし、過大な退職金は経費にできないケースもあるため、注意が必要です。 この退職金ですが、実は出口戦略(売却時)においてもきわめて優遇された課税の仕組みであり、資産づくりとしても、とても重要です。 一体どのように優遇されているかというと、所得税法上、退職所得として課税され、退職金控除という手厚い控除があり、さらにその控除後の半分のみについて課税されます。この、高額な社長の退職金は事前に準備しておく必要があります。売却時のために普通預金にストックしておくわけにはいかないので、通常は、生命保険を活用します。生命保険は払った金額の全額、半額などを経費にできます。保険の種類にもよりますが、生命保険を活用することは節税対策の王道といえます。退職金の原資に利用するほか、相続対策にも利用できます。詳細は、次回以降で説明させていただきます。 ●リニューアル時の節税ポイント レジャーホテルにとって、リニューアルは不可欠です。 定期的に行なうリフレッシュレベルのものから、5年程度の間隔の中規模リニューアル、さらに大規模なものとしては、15年程度で全面改装を行なうホテルも多いと思います。 限られた予算のなかで集客アップを実現するための空間のブラッシュアップが最大のポイントですが、同時に、節税対策を意識したリニューアルということも重要です。 たとえば弱電設備などの備品関係の固定資産で30万円未満のものは、その期の中で全額損金(経費)にできます。1事業年度で総額300万円までという条件や、時限立法といって、適用期限があるため、注意は必要です。また、償却資産税が生じるため、顧問税理士とよく相談してから判断した方が良いでしょう。 そのほか、10万円未満の固定資産は、上記の条件などもなく、全額損金にできたり、20万円未満のものについては、3年間で損金にできたりという制度もあります。これらの法律は、ご存知のオーナー様も多いと思いますが、次のものは意外と見落とされている方も多いような気がします。 たとえば、従来型の蛍光灯からLEDへ取り換えをする会社がありますが、これは、取替費用として、全額損金とすることができます。節電効果と節税効果を兼ね備えているため、私は自分のクライアントにもお勧めしております。また、レジャーホテルで結構多いのが、不要な固定資産の取り扱いです。固定資産が使用できなくなり、廃棄処分した時には、その資産の価額を除却損として損金に計上できます。さらに、有姿除却といって、その使用を廃止し、今後は事業に使用する可能性がないと認められる資産などは、一定額を損金に計上できます。リニューアル時や決算の時などに、会社の固定資産台帳を是非、調査・検討してみてください。意外とあるものです。 ●事業承継・相続対策等 会社の資金繰りが厳しいとき、社長は受け取った給与を会社に貸し付けることがあると思います。また、資産を購入するときなど、銀行からの融資だけでは不足する場合は、社長個人のお金を会社に貸すことがあります。会社に利益が出ていて社長へ返済しているときは良いのですが、塩漬けになっていると、貸借対照表にいつまでも借入金残高が残ってしまいます。会社側からみると借入金ですが、社長からみると貸付金ですから、相続財産となります。1億円の貸付金は1億円の相続財産になってしまいます。実際は返済不能であるとすると、後継者が相続税を納税することができなくなるので、早めの対策が必要です。 貸付金を減少させるには、主に下記の4つがあげられます。 ① 社長が貸付債権を放棄する ② 役員報酬を減額し貸付金を返済する ③ 貸付金を資本金に振り替える ④ 貸付金を相続人等へ前もって連年贈与する ただし、これらもケースバイケースで、問題点もあるので、実際に行なう場合は、良く検討する必要があります。 相続税を意識すると、「自社株の節税」も重要になってきます。ここでの自社株とは、同族会社のオーナーやその親族が所有する株式等のことをいいます。ご自分の会社の株式の評価額をざっとつかんでおくと良いでしょう。毎年利益が出ていれば、結構高額な評価額になっていて驚かれるかもしれません。 この自社株も相続財産になりますから、早めの対策が必要です。タイミング良く贈与を検討するほうが良いと思います。現在、会社の財務状態が債務超過であれば、株価はゼロなので、無税で贈与することができます。債務超過でない限り、無税で贈与はできませんので、下記の2つの方法で後継者に引き継ぐことになります。 ①「暦年贈与」を使う これは、基礎控除額の110万円を使って、毎年コツコツ自社株を贈与する方法です。 ②「相続時精算課税制度」を利用した贈与 この制度は、贈与したときの贈与税を軽減しておき、将来発生する相続時に、それまでに贈与した財産を含めて相続税を計算し、贈与税を精算するものです。条件を満たすことで2,500万円までの贈与には贈与税がかかりません。これを超える贈与があれば、その部分に対して20%の贈与税がかかるものです。つまり通常の贈与よりはるかに贈与税を減らすことができるのです。 以上、レジャーホテルの長期的な安定に必要であり、知っておくべき節税のポイントを総括的に説明させていただきました。今回は総論であるため、詳細を割愛する部分が多かったと思いますが、今後はポイントごとに解説をさせていただければと思います。 今後も発刊ごとに、追加してご紹介いたします。 佐々木税務会計事務所 【対応地域】 全国のラブホテルに対応いたします。 〒107-0061 東京都港区北青山3-5-14

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